社説:地上イージス問題 徹底的に疑問の解明を

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 防衛省が地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(地上イージス)の配備「最適候補地」として秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を挙げたことについて、佐竹敬久知事と穂積志秋田市長はそれぞれの定例会見で疑問を呈し、共に配備の是非については現段階で判断できないとした。

 防衛省の福田達夫政務官が先日、県庁を訪れ、佐竹知事と穂積市長と面会し、新屋演習場を候補地と選定したことを説明した。その理由として日本海側の北と西に2基を速やかに配備するため、レーダーの障害にならない地形と用地取得などの手続きが不要な自衛隊施設から選んだことを挙げた。

 佐竹知事と穂積市長は新屋演習場が住宅地に隣接し、近くに小中学校、高校などがあることに大きな懸念を示している。「環境として最適候補地かは甚だ疑問」「内部で十分な検討がなされたのか疑義がある」と述べたのは当然であろう。そもそも先日の福田政務官との面会が短時間で終わり、十分な説明を受けられなかったことがこうした発言につながっている。

 地上イージスの配備に当たっては、小野寺五典防衛相が「地元首長の理解と協力が必須」と述べている。しかし佐竹知事、穂積市長の会見での発言からは理解には程遠く、現段階で協力できるような状況にはないことがはっきりした。

 一方、防衛省が夏以降に地質測量調査などに入ると説明したことについて、佐竹知事は会見で「役所からは自分たちに都合のいい結果が出るものだ」とも発言した。県政トップの発言としてはいかがなものか。誤解を招くことのないよう慎重に言葉を選ぶべきだ。

 県と市は、防衛省が調査の入札公告前に住民説明会を開催するよう東北防衛局に小野寺防衛相宛ての申し入れ書を提出した。地元では電磁波による健康被害が危惧されているほか、施設ができれば攻撃される危険があるのではといった不安がある。防衛省はできるだけ早期に説明会を開くべきである。

 防衛省は説明会でまず、佐竹知事、穂積市長、さらには住民が持っている「なぜ住宅地が隣接している新屋演習場なのか」という疑問に対して真摯(しんし)に答えなくてはならない。

 地上イージスの導入が閣議決定されたのは昨年12月だった。それから新屋演習場が最適候補地と明らかにするまで半年を要している。どうしても地元が置き去りにされた感は否めない。先日の説明も調査実施を一方的に伝えることが大きな目的だったのではとも取れる。

 防衛省は「配備ありきではない」と強調したが、なし崩し的な対応を重ねるようでは住民の不安は払拭(ふっしょく)できない。佐竹知事、穂積市長には防衛省からの説明を待つばかりでなく、自らが積極的に疑問の解決に向けて動くことが求められる。

最適候補地に陸上自衛隊新屋演習場が選ばれた理由を探りました